こんにちは。デコラの漆畑です。
今日は9月末にフランスで開催された国際アイウェア展示会“シルモ”レポートです。
ポンヌフの今
今年のシルモは前評判が高く、ニューカマーの登場を予感させました。
事前に収集した情報と現地のオプティシャンからのリアルなトレンド情報収集によってとても充実した仕入れができたと思います。
レンズシェイプのトレンドはヴィンテージルーツのボストン型、ラウンド型のような丸みのあるトラッドな型です。シェイプに関して言えば、どのカテゴリーのブランドも必ず取り入れているといってもいいと思います。これは世界的な潮流ですね。
正直似たようなコンセプトやビジュアルもとても多く、玉石混交な状況とも言えます。
そんな中でどのように個性を見極め、ホンモノを探すかはバイヤーの腕の見せ所で、結果的に今回のシルモでは新規ブランドを2つ採用することができました。
1つめは、
Clement gouverneur(クレモントガバナー)というフランスのブランドです。
社長のフィリップ
1878年創業というとてつもない歴史のあるファクトリーブランドです。ファクトリーブランドとは工場一貫生産を行っているブランドという意味で、130年を超える歴史があります。日本の最古参メーカーの増永眼鏡さんでも110年ですから大変な歴史です。
フランスの眼鏡生産地ジュラにある自社工場写真
また当時のマシンがまだ現役で使用されているというから驚きです。19世紀の後半といえば帝国主義時代の先進国で産業革命が成し遂げられ、植民地戦争が激化していく時代です。ナポレオンが生きていた時代を知っている人がいたかもしれません。
クレモントガバナーは過去のアーカイブの中からデザインを興し、金張りとプラチナメッキによるエレガントなコレクションを提案しています。美しいデザインは色褪せることがなく、普遍の価値を持っていると言えるでしょう。とくにケーブルタイプのモデルはピアノ線のように細く、とても繊細で美しいです。フィッティングの問題もあり、彼らとリレーションシップを築きながら少しずつ展開を増やしていく予定ですが、フロントのインナーにプラスチック生地をコンビネーションさせた今季の新作からセレクトしています。
Clement gouverneur HP → http://clement-gouverneur.com/mobile/index.html#p=1
もう一つは
Jacques Marie Mage (ジャックマリーマージュ※以下JMM)というロサンジェルスのブランドです。
デザイナーのジェロム氏
デザイナーのジェロムはフランス生まれで、20歳の頃ロスに移住しました。スポーツ関連のプロダクトデザインや、時計やジュエリーなどの高級品のデザインを手掛けてきました。昨年、目の肥えたユーザーを満足させるラグジュアリーで希少性のあるアイウェアブランドとしてJMMを立ち上げました。日本の工場で作られるハイクオリティなコレクションはどれも迫力があり、掛けた瞬間にその人の印象を際立たせます。
10mmの肉厚なプラスチック生地を使用しており、ボブデュランへのオマージュモデルはとくに印象的です。全てのコレクションが限定生産となっており、シリアルナンバーが付いていてエクスクルーシブ感の高いものにもなっています。
Jacques Marie Mage HP→http://jacquesmariemage.com/home/
昨年からお付き合いの始まったAhlemにも久しぶりに会ってきました。
Ahlem
着実にコレクションの感度を高めていて、プラスチックサングラスだけのコレクションだったものが掛け枠も追加され、メタルサングラスも発表されました。オールフランスメイドです。
Ahlem 新作メタルサングラス
じわじわ人気が出てきているのですが、本人のポリシーとして自分の手の届く範囲でしか物作りはしないということがあって、ビジネスは無駄に大きくしたくないという話を聞いてホッとしました。生産数が限られているので、アレムのコレクションはどうしても1個単価が上がってしまうのですが、そういう事情があることをご理解いただけたら嬉しいです。その分人とかぶらない、より愛着のあるモノになるものと信じます。
African map!
印象的だったのは私が商談中にコーヒーをこぼしてしまったのですが、ちょうどそれがアフリカ大陸のように見えたようで“アフリカンマップができたわ!”とハプニングをユーモアで笑いに変えてくれたことです。ちょっとしたことですが人柄が出ているエピソードです。
もう一つトピックスとしてはREIZが20周年を迎え新たなコレクションを発表しました。
20周年目のNEWシリーズ
実力派のドイツブランドとして業界評価の高いブランであるにもかかわらず、頑なにスタイルを崩さないこともあり、近年のビンテージテイストのトレンドにやや馴染まない感がありました。最近はあまりライツのセレクトをしていなかったのですが、才能に関してはとても評価していましたし、物作りに対する考え方もとても尊敬できるブランドなので今回のコレクションが素晴らしかったこともあり、久しぶりにセレクトしています。残念ながら商品の露出は現段階ではNGとのことでお見せできませんが、長く続いたビンテージテイストに飽き、ミニマムでシンプルでありながら上質なもの、すなわち“ノームコア”な嗜好も生まれている今の気分にマッチすると思います。混ぜ物のない純粋な高品質チタニウムとプラスチックフロントのコンビネーションにご期待ください。
これら新作は入荷次第順次お知らせしていきます。お楽しみに。
(decoraTOKYO 漆畑)