こんにちは。デコラ東京より漆畑です。
最近久しぶりに1980年に発表されミリオンセラーを記録した小説「なんとなく、クリスタル」(田中康夫著)、通称“なんクリ”を読み返しました。
本格的なバブルがはじまる少し前の時代に青春していた主人公たちも今は50代。今の日本経済を支えるベテランです。あらためて80年代の大学生のアイデンティティーがどこにあったのか、その趣味、風俗を辿るのはとても面白かったです。
とりわけこの小説が特異だったのは膨大な量の注釈です。見開きの半分はすべてのページに注釈があって、東京の地理や音楽、洋服ブランド、流行言葉などにいちいち作者目線の注釈が付いています。
そして私が目に止めたのは最後に付いていた当時の人口推計予測と出生率に関するデータ。
何不自由のない時代になんとなく生きている二人にもやがて訪れる黄昏の時期、、そして遠からず迎えることになる少子高齢化社会を暗示し、豊かな時代の漠然とした不安感を演出する巧妙なエンディングです。
この本が出版された当時の人口推計予測では、65歳以上の人口比率は2000年に14.3%とされておりましたが、実際の2000年はどうだったかというと総人口の18.5%(約2362万人)。2016年5月の今現在、総人口1億2696万人の26.8%(約3400万人)となっています。(総務省統計局HPより)
少子高齢化は予測を上回る速さで進んでいることがわかります。
現在、2015年の眼鏡購買人口の58%が45歳以上、眼鏡の小売市場規模は72%が45歳以上と言われています。2013年以降、45歳以上は人口の5割を超え、高齢者比率は今後ますます大きくなると予想され、眼鏡レンズメーカーの開発も45歳以上を大きな市場と捉えています。
45歳というのがなぜ眼鏡市場で注目されるのかというと、それが本格的に加齢による近見時のストレスを自覚し始める年齢だからです。
私もそろそろ近くのものを見るときにストレスがかかってくる世代なのですが、近見時にストレスを軽減するレンズを使うと確実に疲れ方が違います。
目の緊張状態を軽減するレンズは総称として“ サポートレンズ ”と呼ばれ、遠近両用の一歩手前のレンズ、また長時間のPC作業による目の疲れを軽減するレンズとして、もう10年以上も前から提案されています。
ご存知ない方も多いのではないでしょうか。
遠近両用レンズの進化も目覚ましく、私も体感したくてサポートレンズ感覚で最近使いはじめたのですが、普通の近視レンズとあまりかわりません。サポート量が少ない近視の方でしたらかなりハードルは低いはずです。
30年以上前の初期の遠近両用を経験した方のネガティブ評価を伝え聞き、ステレオタイプにそれが未だに残っていたりするのですが、百聞は一見にしかず、今の設計を試していただくと多くの方の誤解は解けるはずです。
そして遠近両用眼鏡と上手に付き合うコツは早めにスタートすることです。
犬が苦手な人も子犬から育てれば慣れやすいのと同じで、眼の調節機能に余裕がある状態からスタートすれば、サポート量が少なくて済みます。結果慣れやすくなります。遠近をスムーズに使い続けている方の多くは、早く初めて定期的に眼の状態をチェックして度数を見直している方です。
お付き合いのあるレンズメーカーの方が車やテレビ、パソコン、携帯など身の回りのものは猛烈なスピードでアップデートと消費がなされていくのに、眼鏡のレンズは時代の変化に対応して供給はアップデートされているのに対して消費者のアップデートが遅れているということを指摘していました。
様々な課題が要因として考えられると思うのですが、なるほど、それは確かにそうかもしれないと。手持ちの眼鏡のレンズをまずはアップデートしていこうと思うのでした。
(プレス 漆畑)
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