こんにちは。デコラ東京の漆畑です。
本日はイベント情報の陰に隠れて入荷した逸品をご紹介できればと思います。新作、再入荷モデルなどInstagramでも紹介が間に合っていないものも多々あり、本日は見逃し注意なモデルを少量ですが深掘り紹介致します。
情報更新が恐ろしいスピードになった世の中ですが、ちょっと振り返ることにも気を配らなければと思う今日この頃。うっかりしていると良いモデルが人知れず流されてしまいます。
まずは国産ブランドSTEADY(ステディ)からこちら。
STEADY STD65 ¥38,000(+tax)
めちゃシンプル。
一見みなさんそう思われるモデルかと思います。
そう、シンプルなのです。
スマートで癖のないカタチ、そこが評判の良いモデルです。
ビジネスでもカジュアルでも着回せます。
ディテールが複雑化してイタズラにコストが上がってしまう眼鏡もありますが、ベースとなる素材は吟味され、余計なものがいい感じで削ぎ落とされています。
フロントは硬さのあるチタンで形態安定性を確保し、テンプルはβチタンを使って程よい弾力性によってフィット感を高め、シンプルなモダン(耳のカバー)が付いています。流行りのチタンパットは使っていません。
最近のメタル眼鏡にはモダンが付いていないものが多くなっていますね。
モダンが無いテンプルは継ぎ目がなく、それはそれでカッコいいのですが、モダン付きの眼鏡もいいものです。
モダン付きの眼鏡は耳周りのフィット感がいいのと、フロントの重さに対してバランスが取れるという利点があります。
掛けた時のバランスを二の次にせず、見た目のかっこよさを無造作に求めない姿勢をリコメンド。
眼鏡はまず道具である。そう考える方にはモダン付きの眼鏡は理にかなっていると思います。眼鏡は必ずフロントのほうが重くなるため、後ろの重心がないとズレやすく鼻への負担も増します。
フォーナインズの眼鏡などは一貫してモダン付きのメタルフレームが多いのはそのためですね。まさに眼鏡は道具と謳っているブランドならでは。今後モダンの復権にも期待したいところです。
999.9歴代モダンの数々。モダン付きが当たり前だった時代が懐かしい。
そして眼鏡においてもう一つ重要なパーツであるノーズパットのチタン化も著しいですが、これも何でもかんでもというのは如何なものかと思います。
素材にはそれぞれ一長一短があり、チタンパットは劣化しにくく、汚れも付着しにくく、高級感があります。デメリットは汗や皮脂などで滑りやすく、北海道では冬に使えません。鼻がもげます。アタリは硬めです。交換費用は割高になります。
プラスチックパットは肌当たりが柔らかく、滑りにくいのが持ち味ですが、経年で劣化します。
パットが高級化するとプラスチックパットが妙にホッとします。
パットに関しては意外と未開拓でまだまだ発展性があるパーツかもしれませんね。
ステディを手掛ける金子さんはイエローズプラスの山岸さんとは福井で同じ学校に通っておられた同世代。デザイナーとしてのキャリアも近く、メガネデザインに対する想いというか目指すゴールが近いように感じます。
続いて再入荷したこちら。
OLIVER GOLDSMITH SHEPPERTON ¥34,000(+tax)
オリバーゴルドスミスといえば、CONSUL-SやVICE CONSULがまず頭に浮かんでくる代表的モデルですが、隠れた名作として知る人ぞ知るモデルがこの2モデルです。
傑作CONSULをかけるマイケル・ケイン。こちらは11月再入荷予定。
肉厚で癖ありなのですが、英国ブランドらしい品を感じさせます。
昨今のフレンチビンテージな気分も満足させてくれるのではないでしょうか。
コルビジェぽく、あるいはデビット・ホックニーのようなアーティストを気取ってみても良いかと。
デコラ東京ではジャック・マリー・マージュのような重厚なモデルに関心を持たれる方も増えており、メガネを力強く掛けてみたいという方におススメです。
ミッドセンチュリーのハンドクラフト感を存分にお楽しみいただける逸品です。
最後はこちら
1928-1930 「Martin Copeland Optical Campany」 made in usa ¥121,000(+tax)
The Spectacle(ザ・スペクタクル)から最近入荷したフルフレームです。
フルフレームというのはアメリカ由来の呼び名です。
レンズを囲う枠がフルにあるという意味で枠がすべてレンズを覆っている眼鏡です。
おい、てめえが押してるモダンがねえじゃねえかという声が聞こえてきそうです。
、、、、、これは良しとさせてください。
ザ・スペクタクルの眼鏡はすべてヴィンテージになります。
弊社が古くから扱っているブランドで、実は私の入社当時にはモダン付きテンプルが存在しました。
そもそもこのモデルのような1920〜40年代のヴィンテージメタルフレームは、当時ケーブルテンプル(縄手)、モダン付きテンプル、そしてモダンが無いテンプルの3スタイルがありました。当時の貴重な資料があります。
1930~40年代American Optical社のカタログより
テンプルの長さのバリエーションに関するページ
同じく1930~40年代American Optical社のカタログより
テンプルの形状に関するページ
ザ・スペクタクルを手掛けるレトロスペックス社は可能な限りリペア対応できるヴィンテージを世に出すことを謳っていました。予想するにモダンパーツはリペアに対応できる充分なストックが確保できなかったと思われます。
2000年頃から供給されるものは一部を除き、レトロスペックス社が当時の機械を使ってレストア(修復)してモダンがないこの形状のテンプルとケーブルテンプルに統一しました。
そういった事情でロマンと引き換えにこれは良しとしてください。
ヴィンテージはロマン枠として特別なカテゴリーです。昔の人たちや時代へ想いを馳せるタイムトリップツールなのです。
他にもいろいろとザ・スペクタクルは入荷してきたのですが、このモデルをピックアップしたのはとてもレアなメーカーのヴィンテージだからです。
このモデルのようにテンプルがレンズの上下のちょうど真ん中に付いているものはサイドマウントと呼ばれており、ヴィンテージ市場では希少な形状です。年代が後になるとフルビューといって視界確保のためにテンプルは上部に付くようになります。
いわゆるアメリカ3大メーカー(アメリカンオプチカル、ボシュロム、シュロン)以外のサイドマウントはレア度が高く、入ってくることはあまりありません。
この会社はMartin Copeland Optical Campanyという会社のもので、エッジーなブリッジやテンプルの繊細なラインが特徴的な逸品です。
金張りと言って、12金の厚張りになっているのも当時のアメリカ製眼鏡の特徴です。一般的な金メッキと違って輝きに重厚さがあります。
アメリカ製の眼鏡は今ほとんど絶滅状態なのでmade in USAの眼鏡自体にたいへん価値があります。
キリがないので今回はここらあたりでお暇します。
こんな具合でSNSでは紹介しきれないモデルも多々ありますので続きはまた店頭でぜひ。
(プレス 漆畑)
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