本日は遠近両用メガネ装用者のお悩み相談を簡単にご紹介します。
私が実際に担当したお客様で私も当事者の一人だったケースです。
50代の男性で日常生活あまり不自由は感じないのですが、車の運転の時に使いづらいのが気になるとのご相談でした。ご利用の眼鏡は2年ほど前に初めてご購入された遠近両用とのことでした。
話をうかがう中で、遠方を見るときに顎を上げておられる姿勢に気づきました。どうもこのあたりに遠方が見にくく感じる原因が何かありそうです。
念のためドライビング時のことについてご質問させていただくとご所有の車はセダンタイプでゆったりとした姿勢で運転されるとのこと。
再現するとこのような姿勢になります。
確かにシートに深くゆったりと座っての運転する心地よさは私もわかります。私も昔は同じような姿勢で運転していました。
遠近両用の装用時にこの姿勢はおすすめ致しません。視線が中間距離を見る部分を通過するためです。
正しい姿勢と比較してみましょう。
左)正しい姿勢 右)ゆったり運転姿勢
STAY HOME週間のためラフな装いで失礼致します。
お分かりいただけますでしょうか。右の写真は左よりも少し下の位置に視線が通っています。これでは遠近両用の良さは発揮されず運転時はどこを見ても不便を感じる可能性が高いと思われます。クリアな視界を得るために首を起こすことになるため首への負担も大きく疲れやすいです。私は左の写真が普段の運転姿勢です。レンズの機能に合わせて姿勢をあらためました。
また、お客様がご購入になられた初めての遠近両用はスタンダードタイプのレンズをお選びになられたとのことでした。度数の変化によりスタンダードな設計のレンズが用途に合わなくなってきている可能性も考えられます。
遠近両用レンズの基本構造にはいくつかの種類があります。
累進レンズの進化は目覚ましく、各レンズメーカーからは続々とハイグレードな商品が発表されています。その中でスタンダード遠近両用レンズも今なお現役で活躍しています。しかしながら実際に販売していますとこのスタンダードタイプは旧世代のレンズであるという認識はユーザーの皆様にも浸透してきていると思います。
旧世代のレンズとハイグレードタイプの視界イメージです。
左)旧世代タイプ 右)ハイグレードタイプ
曲線内は像にボヤけ、歪みが出ています。このボヤけ、歪みをいかに軽減させてゆくかは累進レンズの永遠の課題といっても良いでしょう。線の歪み方から装用感はハイグレータイプが良さそうなのはお分かりいただけるかと思います。
また、テスト装用やアイポイントの取得時の姿勢も大切です。
アイポイントは瞳孔が使用する眼鏡のどの位置に収まるかをチェックする作業です。これは累進レンズのレイアウトを決定する重要なチェック項目となります。
アイポイントの違いによるレイアウト比較(遠近両用)
左)適正位置です。 右)顎が上がった状態です。
ショップでは意識してしまいテスト装用やアイポイントの取得時にいつもと違った姿勢をとってしまわれる方も多く、私はいつもできる限り日常生活での姿勢や対象物までの距離を実際に再現していただく時間をしっかり取ります。その中から優先すべき姿勢、距離をお客様とご相談しながら決定してゆきます。顎が上がった状態での装用は度数の変化領域に視線が通るためクリアな視界を得ることが難しくなります。今回のお客様のようにドライビング時のゆったりとした姿勢はこの状態になるためストレスになっていたようです。
少々長くなりましたがこちらのお客様はこれらの事を踏まえて、
・レンズタイプをスタンダードからハイグレードタイプに変更。
・手元の度数を少し弱く設定。度数のギャップを抑えて違和感を減らしてプライベート重視の眼鏡に。
・運転時の姿勢の見直し。
・レンズのレイアウトは真正面ではなく、無意識に顎が上がってしまった時のことを考慮してアイポイントは現状と異なるレイアウト修正。
などを行い新調いただく事となりました。
ご購入後、何度かメンテナンスにご来店いただいていますが問題なく調子よく使用いただけているとのことで新たに1本新調をご検討中とのことでした。
今はこの状況ですのでご来店いただくことが難しいのですが、状況が落ち着いた頃に笑顔でお会できればいいなと思います。
(decora TOKYO 店長 岡部)
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