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ブレずにいること

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 07

February.

2018.

こんにちは漆畑です。

 

最近私はネットで書籍を購入することが多くなり、SNSやラジオなどを情報元にフラフラと買い物カゴへポチッ。気がつけば未読本の山。エンドレスな積ん読(つんどく)状態という好ましからぬサイクルに陥りつつあります。

 

これはいけないと思い、買ったものはちゃんと読もう、読んでから買おうと読書熱に火がつきました。

 

とくに趣味の山絡みの本は溜まりに溜まっており、「神々の山嶺」という夢枕漠さんの山岳小説から着手しました。

 

エベレスト登山でも最も困難とされる南西壁冬季無酸素単独登頂に挑んだ伝説の日本人クライマーとその男の魔性に引き込まれていく写真家によって進む物語は、過酷な登山行と山に向かう者の心理をリアルに描き、とてもスリリングです。G.マロリーという実在する登山家にまつわるある謎を一台のカメラから紐解いていくというミステリー要素もあり、あっというまに上下巻を読み干してしまいました。フィクションと事実が入り混じる物語は断然文字で読む方が面白いです。想像力が膨らむ膨らむ。また物語の中に、ネパールの元グルカ兵が出てくるのですが、ファッションアイテムとして様々にカスタムされているグルカパンツへの造詣も深まりました。そして人はなぜ過酷な山に登るのか、一つのことにのめり込んでゆく人間の熱量、その意志の持続性などについて考えることは人生感にも刺激を与えるものでした。

 

眼鏡もしかり、ブレずにモノづくりを続けている人からは刺激を受けます。

 

 

たとえばAhlem。

 

 

Ahlemは昨年VOGUE誌が主催するCFDA/VOGUE ファッション・ファンド・アワードにアイウェア界からただ一人、10組のファイナリストの一人に選ばれました。「ファッション・ファンド」というのは、若手デザイナーを支援するためのファンドで、年間でわずか1組を選ぶ知名度と権威のある賞です。選ばれた1組のデザイナーは、30万ドルの支援を受けられるのですが、支援金よりもその栄誉に相当な価値があると言われています。ファンドの創始者は、米版VOGUE編集長のアナ・ウィンター。映画「プラダを着た悪魔」のモデルにもなった名編集長です。「ファッション・ファンド・アワードの全て」というドキュメンタリーにその審査の厳しさが記録されています。

 

そのCFDAにて準グランプリを獲得したのです。

 

Ahlemの注目度はうなぎのぼりで、日本での取扱店は少し前までは私たちのショップだけだったのですが、次々と有力ショップがセレクトを開始しはじめました。

 

世界的にも注目度が高まっていて、昨年のパリのアイウェア展示会シルモでのブースの賑わいようは相当だったそうです。

 

ですが本人たちは浮かれることなく、スタンスを崩さずにモノづくりをしています。

 

 

“How is AHLEM’s production different from others?

It is the furthest thing from mass production.  Our ateliers have no interest in becoming large corporate factories. Our ateliers would rather have one great client who loves the quality and craft, than 100 who don’t care.”

〔“アレムと他社製品との違いについて。アレムの製品は大量生産品とは最も遠く、私たちのアトリエは大企業の工場になることに興味がありません。むしろ品質や技術に関心のない100人のクライアントより、そのことを大切にする一人の素晴らしいクライアントを増やしていくでしょう。〕

 

 

これはAhlemチームのプロダクションリーダー、Luna Doblesさんがフランスのオヨナにある工場を訪れた際のニュースレターの一部抜粋です。

 

仕入れ側からすると、とても気になるレポートでした。

 

私たちは日頃からいかにしてお客様に付加価値の高いメガネを提供するかということを考えているわけですが、このような作り手のメンタリティーというのはとても嬉しいのです。

 

共感してメガネを購入された方にとって、その品物が確かな価値のあるものであることはきっとお客様を満足させますし、同時にそのことは私たちにとっても高い満足になるからです。

 

もちろん付加価値というのはモノだけで作られるものではありません。サービスや技術、気配りなどが付随するものです。しかしその根幹は作り手のメンタリティーや理念とそのモノ自体の総合的なクオリティ、そしてそれを見極めるショップにあるのではないかと思うのです。

 

デコラがセレクトするモノは“世界基準で一流であること、またその可能性を宿しているモノ”、それがひとつのものさしになっています。モノには相応の価値があり、この種のメンタリティーは価値の底上げをしていると感じます。

 

このレポートは広く誰の目にも届くInstagramで発信され、また取引先個別にも同じく発信されていることから、品質に対するエンドユーザーへの誓いにも取れますし、また私たちショップに対してのメッセージとも受け取れます。

 

“自分たちが信じるモノや理念に深く共感してくれたショップに商品を卸す”

 

置かれている環境が変わっても本来持っているはずの感覚を変わらず持ち続けるのは簡単ではありません。

 

きっとこのチームには自然と好循環が生まれていくのだろなと感じたのでした。

 

 

2018020701

 

 

 

(プレス 漆畑)

 

 

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